某月某日
住宅地に忽然と現れた素敵な家…。
初公開、これが噂の一ノ瀬恵梨香邸だっ!
撮影機材がどんどん搬入されています。
深田恭子さん主演「蒼い瞳とニュアージュ」のオープンセットです。映画並みにお金がかかってて、規模も大きいです。
きょうは深田恭子さん演じる一ノ瀬恵梨香の家を、萩原聖人さん演じる宇崎俊一が訪ねる場面の撮影です。原作者の僕が見学させていただくのは、今回の撮影ではこれが初めてになります。
広い部屋ですねぇ。奥のベッドが恵梨香の寝室になってます。恵梨香の箱庭療法の部屋もここにあったりします。箱庭療法は、視覚的効果があるものの小説では表現しにくいので、今まで使いませんでした。でも今回は映像作品なので、早速採用されてるみたいです。流石ですね。
そしてなんと、これが恵梨香と宇崎が会話するリビングです。原作に描いたアメリカンポップ調の部屋がさらにゴージャスになり、クルマまで乗り入れてます。
反対から見たところです。二階のロフトにさらに別の部屋へのドアが色とりどりに並んでいて、いかにも一ノ瀬恵梨香の家ですね。
しかし金持ちだな恵梨香…。岬美由紀よりずっと…。
深田恭子さん版一ノ瀬恵梨香の愛車オープンカーは、原作のSLKではなくてサリーン、それも鮮やかなフェラーリ色に塗装し直されたクルマです。ボディサイズもかなりの物です。
ヨーロッパ車じゃなくてド派手なアメ車ってところが大仰で面白い、と水谷俊之監督が採用しました。視覚効果は抜群で素晴らしい判断です。恵梨香のお姉ギャル系ファッションにもマッチしてますしね。
ハイビジョン撮影ですが、スタッフは映画畑の精鋭揃いなので、ライティングやカメラワークなど劇場用映画と比べて遜色ないどころか、はるかに凌いでいると思います。長回しのカットでは深田さんも萩原さんも完璧な演技でした。
おっと、テーブルにはなぜかこのような物が。
でも、この記事や表紙写真とは違って、深田恭子さんの一ノ瀬恵梨香は「大人の女」というより、原作どおりでしたよ。髪も明るく染めてたし、センスのいいお姉ギャル系ファッションでしたしね。
広い部屋にある螺旋階段です。メルヘンチックななかにも、恵梨香の複雑な心理が垣間見える一種の不気味さが感じられて秀逸なデザインとライティングですね。
そういえばきょうは寺田農さん(臨床心理士の元宮役)もおいでになってましたね。深田さんと絡む場面があったのかな?
「見ろ、人がゴミのようだ!」って言ってほしかったですけど。原作に書いておけばよかったかな。なわけないか。
リビングのセットにあるテーブルです。なんか、ロケ弁が置いてあるせいでおかしな感じですが、パソコンとかグラスとかいちいちセンスがいいんですよ。深田さんも萩原さんもここを見ながら長ゼリフを喋ってましたが、カンペなんか貼ってありません。それだけで視線の動きが変わってしまうから駄目なんだそうです。
なんとこの門が一ノ瀬恵梨香邸の入り口です。富豪刑事もびっくりですね。原作にもある、宇崎が訪ねてくるところの撮影がありましたが、こんなでっかい門だったとは…。面白いですね。
門を入ると中庭がこんな感じになっていて、ご覧のように例のクルマが停まっているリビングが見えます。いまはクルマを出す寸前のカットを撮ってますから、機材は外に出てますね。
昼食中の水谷俊之監督とお話しさせていただきました。前作「震度0」は本当に素晴らしい作品でした。まったく毛色の違う「蒼い瞳とニュアージュ」をどんなふうにお撮りになるのか、興味津々だったんですが、リアリティと幻想性、現実離れした三つの要素をうまく織り込んで映像化しておられます。流れるようなカメラワーク、映像設計も秀逸です。
左から僕、水谷監督、ホリプロの平部さん、WOWOWのプロデューサーの青木さん、そしてホリプロの梶野さんですね。
ドラマWの質が素晴らしく高いのは、青木さんのセンスによるものだと、よくわかりました。
予告編がもっと派手になったらいいのになぁ、と常々思っていたことをお伝えしてしまいました。
リビングの一角では次のカットの撮影準備が進んでいます。丁寧に撮るので大変ですね。それにしてもこのソファとか、原作の通りで感激しました。
上に昇る階段だけがアンティークになってたり、面白い取り合わせですよね。リビングがアメリカンポップ調なのに、家の外観やその他の部屋がヨーロッパ調ってのも、原作に描いた一ノ瀬恵梨香の趣味(好きなものはなんでも集める)を反映した自宅、という描写の通りです。深田さんも、楽しんで演じていたのではないかなと思います。品のいい、かっこいいヒロインを正攻法で描く作品は、ありそうで実はなかなか無かったりしますから。
階下にこんなものが。
ぎっしり千里眼シリーズですね。小学館版まであるところがなんとも…。
そういえば、この角川版の表紙の女は誰なんだとよく聞かれますが、誰でもありません。デザイナーさんか角川さんのライブラリーから引っ張ってきた写真で、撮りおろしたものではないでしょう。デフォルトということで、イラストみたいなものです。
窓から差し込む自然光では、時間とともに陰影が変わってしまうので、照明によって光が作りだされます。セッティングも大変そうですが、結果として撮影されるカットの幻想性は素晴らしいですよ。
棚に人形がたくさん並んでいて、恵梨香がみずからの箱庭療法に用いたりします。原作にはないシーンがどのような効果をあげるのか、興味津々です。
某月某日
お買いあげいただいた皆様、本当にありがとうございました。これからも皆様が楽しい読書時間を過ごせますよう、全力で頑張らせていただきます。
ところで「美由紀の正体」はなぜ上下巻なの?と聞かれることがあります。
じつは上下巻は、「長い作品」の最後まで、皆様が読んでいるかどうか、確かめる効果があるのです。
作家さんによっては下巻が上巻の半分ていどの売り上げ、ということもあります。僕は小学館のころからずっと、上下とも売り上げ冊数が変わらないことを、ひとつの誇りとしています。
某月某日
「メフィストの逆襲」と「岬美由紀」の中国語版ですね。これのクライマックスは9・11ですから、当然、角川クラシックシリーズの完全版では展開ががらりと変わります。
というより「ミドリの猿」「運命の暗示」は、ストーリーが旧作と全然違いますし、つづく「洗脳試験」はシリーズから破棄し、完全書き下ろし新作に差し替えます。理由は、友里佐知子との決戦にしてはショボすぎるし陳腐な場面だらけで、読み返して嫌になったからです。
そういうわけで完全新作「千里眼 友里佐知子の復讐(仮題)」をご期待ください!