Novel Of Keisuke Matsuoka

千里眼の瞳
徳間書店 ; ISBN: 4198614547 ; (2001/12)1900円 
 事件は四年前、新潟県・水道町の日和山海水浴場に近い砂浜で起こった。忽然と消えた少女。事件は北朝鮮がらみの拉致かと思われ、当時航空自衛隊百里基地に勤務する岬美由紀は不審船を追ってスクランブル発進した。そして2001年8月、岬の前に現れた北朝鮮の女性工作員・李秀卿!東京カウンセリングセンターに勤務し、『千里眼』といわれる岬美由紀以上に人の心を読み解く李の凄さ。二人を軸にして語られるエスピオナージュは国際サスペンスの全く新しい地平を拓く。物語はリアルタイムで進行するドキュメントタッチの緊迫感で、シリーズ最長の作品となったが、一気に読める痛快作である。 

シリーズは通常、小学館から刊行されているが、この作品は徳間書店から出されている。そのためか、過去のシリーズとのつながりが希薄であるが、これはハードカバーと文庫の読者層の違いを考慮したものとみられ、ハードカバーである本作は社会派サスペンスを前面に押し出した読みきり文芸のテイストを濃くしている。すなわち本作はシリーズではなく単独の作品として読む読者を想定して書かれているという。文庫版ではシリーズの連続性を考慮してメフィスト・コンサルティングが登場する。