Novel Of Keisuke Matsuoka

千里眼トランス・オブ・ウォー(上)
小学館 ; ISBN:4094037977 ; (2005/07)650円(税込)
 イラクで人質となった日本人の救出チームの中に、彼らのPTSDに対処するため臨床心理士・岬美由紀が派遣されていた。救出チームが武装グループから人質を奪還しかけたとき、突然戦闘が始まり、美由紀はひとり武装グループに捕らえられてしまう。岬美由紀がなぜ臨床心理士になったのか、その最後の謎も明かされる最長巨編。

 本作の上巻は、文庫化にあたって千里眼シリーズのなかでもきわめて重要な事柄が書き加えられている。それは岬美由紀と「蒼い瞳とニュアージュ」の一ノ瀬恵里香との接点であり、ここで明らかにされる5年前の出来事によって、岬美由紀は防衛大の優秀な幹部自衛官候補生(前作「ヘーメラーの千里眼」で語られた)から、臨床心理士を志す女へと人生をシフトさせていくのである。と同時に、「蒼い瞳…」の恵里香が持つ岬美由紀との共通点、たとえば臨床心理士であることや、高級外車に乗っていること、バイオリンを趣味にしていることなどが、その出来事に端を発していたことがわかる。